「人は食べたものでできている」。この言葉を聞いたことはありますか?
これは「私たちの心と身体は毎日食べたもので作られている」という意味です。
言い換えると、現在のあなたの心身は「これまでに食べたものの結果」ということ。こう聞いてドキッとした方もいらっしゃるかもしれません。
でも、そんな方にこそ、ぜひ考えてみていただきたいのです。
現在の心身はこれまで食べたものの結果だとしたら「食事をよりよいものに見直すことで、これからの心身の調子が整っていく」。
そんなふうに思いませんか?
申し遅れましたが、私は国際薬膳師で「養生ふうど」を主宰している松橋かなこと申します。
私はかつて、仕事の忙しさとストレスで身体を大きく壊した経験があります。
それはちょうど30歳を過ぎて責任のある仕事を任せてもらえるようになり、やりがいを感じていた頃でした。
ところが、そんなある日に「最近痩せたのではないですか?」という仕事仲間からの一言。
気が付いたときには、身長159㎝で体重37キロ。忙しさとストレスで、自覚のないままに「激ヤセ」していたのです。
健康状態を気づかう余裕もないほどに、自分自身を追い詰めてきた生活。思い返してみると、当時は常に緊張感を抱えていました。
「このままではいけない」「何とかして元気を取り戻したい」。
そう思って一念発起して学んだのが、薬膳や食養生、おばあちゃんの食の知恵でした。
薬膳を学び始めて「これまでどれだけ自分の心身に負担をかけてきたのか」を知り、猛反省することも。
同時に、季節や自然の法則に寄り添い、自分に合う食材をシンプルにいただく心地よさを強く実感しました。
また、昔ながらの食養生やおばあちゃんの知恵には、子どもの頃に祖母が作ってくれた料理につながる部分もあって、懐かしい故郷の味に気持ちも癒されました。
のめりこむように勉強し、食欲は1週間経たないうちに回復。約半年経ったころには体重も元に戻り、すっかり元気になっていました。
そんな私の姿をみて「薬膳や食養生を教えてほしい」と周りの人たちから声を掛けてもらうように。
これがきっかけで、養生ごはん教室を開催するようになり、約10年が経ちます。ヨガや助産院などとのコラボもしながら、これまでに延べ1000人以上の女性に食事の大切さをお伝えしてきました。
教室に参加された方のなかには、私と同じように食事を見直すことで、不調を乗り越えてきた人もたくさんいます。
それだけでなく、自分自身と向き合うことで、自分らしさを取り戻して、夢に向かって歩んでいる方もいます。
「年齢を重ねても、自分らしく人生を楽しみたい」。そんな女性たちを心から応援したいと思いながら、養生ごはんをお伝えしています。