郷土料理ってどんな料理?個性豊かな全国各地の料理を紹介

日本には、北海道から沖縄までさまざまな郷土料理があります。では、郷土料理とはどんな料理なのでしょうか。この記事では、郷土料理とは何かについて解説するとともに、全国各地の郷土料理について具体例を交えて紹介します。

〇この記事を書いた人…薬膳と郷土料理の研究家:松橋かなこ

そもそも郷土料理とは?

郷土料理は、地域固有の食材を上手に活用した料理のこと。その土地ならではの食文化や歴史のなかで育まれてきたものも数多くあります。

特に、南北に細長い日本では地域によって気候や自然環境などに大きな違いがあります。たとえば、「海と山のどちらに近いのか」「寒い地域なのか暑い地域なのか」によっても採れる食材や適した料理は異なり、こうした地理的な条件も郷土食に影響しています。また、郷土料理が生まれる背景には、地域独自の行事や信仰なども深く関わっています。

海外で人気の日本料理といえば、寿司や天ぷら、うどんなどが代表的です。しかし、実際に日本人が食べている料理を考えてみると、地域ごとにさまざまな特徴があり、大阪の「お好み焼き」や愛知県の「味噌煮込みうどん」など郷土料理と呼べるものもたくさんあります。

食べてみたい!全国各地の郷土料理、人気トップテンは?

全国にはどのような郷土料理があるのでしょうか。農林水産省のサイトでは、全国の郷土料理として約500品目の料理が紹介されています。ここでは、2007年に行われた第3回農村漁村の郷土料理百選(農林水産省) のなかから、上位10位に選ばれた郷土料理を紹介します。

まずは、10位から4位です。

10位:鹿児島県「さつますもじ」

季節ごとに身近な食材を使って作る、ちらしずしのこと。山の幸や海の幸をふんだんに使ったちらしずし「酒ずし」に対して、こう呼ばれるようになった。

9位:愛媛県「じゃこ天」

新鮮な小魚のすり身を骨ごとすりつぶし、成形して油で揚げた料理。揚げかまぼこの一種とされる。

8位:鹿児島県「豚骨(とんこつ)料理」

豚の骨付き肉を焼いた後、こんにゃくや大根などと一緒に煮た料理。黒砂糖や芋焼酎を使うのが特徴で、鹿児島県の食材がふんだんに使われている。

7位:愛媛県「宇和島鯛めし」

鯛めしといっても炊き込みごはんではなく、新鮮な鯛の刺身を卵黄入りのタレに絡めて、ごはんに乗せた料理。大葉などの薬味を添えて食べる。

6位:大分県「ブリのあつめし」

新鮮なブリの刺身を醤油を使った甘味のあるタレに漬けて、炊き立てのごはんの上に乗せて、ネギなどの薬味と出汁やお茶をかけて食べる料理。

5位:鹿児島県「きびなご料理」

ニシン科の小魚「きびなご」を刺身や塩焼き、天ぷらなどさまざまな料理法で食べる。鹿児島県では、きびなごはソウルフードとして知られている。

4位:熊本県「馬刺し」

薄くスライスした生の馬肉に、玉ねぎの薄切りとにんにく・しょうがを添えて食べる。熊本県では昔から滋養強壮に良い料理とされてきた。

知っている郷土料理や好きな郷土料理はありましたか? 郷土料理のなかにはその土地でしか手に入らない食材を使ったものも多く、「どんな味がするのかなぁ」と興味がわいたものもあるかもしれません。

個人的には、人気4~10位のうち3つが鹿児島県の郷土料理となっていることに少し驚きました。実は、私は子どものときに鹿児島県で暮らしていた経験があり、きびなご料理が大好きでした。5位にきびなご料理が入っているのを見て嬉しく感じるとともに、無性に食べたくなりました(笑)。

気になる!郷土料理の人気トップ3に輝いた料理は?

では、人気トップ3に選ばれた郷土料理を紹介します。

3位:秋田県「きりたんぽ鍋」

地鶏やごぼう、きのこなどの野菜に、米をつぶして串に巻いて焼いた「たんぽ」を加えて煮込んだ料理。秋田県の冬の風物詩として知られている。

2位:鹿児島県「鶏飯」

白いごはんの上に、鶏肉や干し椎茸、卵などを乗せて、鶏ガラスープをかけて食べる。奄美大島の名物料理でもある。

1位:山形県「いも煮」

里芋が旬を迎える秋から冬にかけて、よく食べられている。里芋のほか、こんにゃくやきのこ、ごぼうなどの根菜類、肉などを入れた煮た鍋料理。

1位~3位は全国的にもよく知られた料理が並んでいる、という印象を受けました。煮込み料理や出汁の効いた料理がランクインしていて、じんわりとした味わいが人気を集めているようです。

1位の「いも煮」は地元では寒さを乗り切る料理として愛されていて、「いも煮を食べないと冬が越せない」という人もいるのだとか。東北地方を中心に、毎年秋になると野外にグループで集まる「いも煮会」が開催されていることからも、その人気ぶりがうかがえます。

郷土料理にはその土地らしさがあふれている

郷土料理は、歴史や風土などさまざまな要素が融合して育まれてきた料理のです。非常にたくさんの種類があり、ぱっと聞いただけでは味の想像ができないものも数多く存在します。

郷土料理はバラエティーに富んでいて、その土地らしさや食文化をより深く知る上で大きなヒントになりそうです。旅に出ると郷土料理が食べたくなるのは、郷土料理の持つこうした特性も関わっているかもしれません。

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