バケツ稲作り・育て方(後編)|中干し~収穫(稲刈り)~脱穀、枯れる原因&注意点

2021年春、「バケツ稲作り」に初挑戦しました。前編では、土作り~種まき~苗の移しかえまでの様子をお伝えしました。後編では、中干し~収穫(稲刈り)~脱穀~試食(玄米粥)までの様子をご紹介したいと思います。

〇この記事を書いた人…薬膳と郷土料理の研究家:松橋かなこ

すくすく成長!分げつ~中干しまで

4月の種まきから約2カ月後、目立ったトラブルもなく、稲がぐんぐん成長しています。注意したことといえば水やりだけですが、草丈は、大人の腰位になりました。イネ科の作物が枝分かれしていくことを「分げつ(ぶんげつ)」と呼びます。

バケツ稲作りの中干し

稲の丈が40~50㎝位になったら、「中干し(なかぼし)」を行います。中干しとは、バケツの水を1~2日程度抜くこと。こうすることで、土の中に酸素が取り込まれ、丈夫な稲が育つといわれています。

枯れる原因と注意点は?

中干しをするのは、夏の暑い時期です。乾かし過ぎると、葉が黄色に変わったり、丸まってきたりします。気温が高いと1日乾燥させるだけで、枯れてしまうこともあるのだとか。中干は、稲の様子をよく観察しながら行うようにしましょう。

8月に花が咲き、9月に収穫(稲刈り)!

8月になり、穂ができて小さな白い花が咲きました。実は、お米の花を見たのは初めて。可愛らしい姿に思わずうっとりです。稲の花のなかにめしべとおしべがあり、受粉することで実になります。

穂が黄金色になったら、いよいよ収穫!

9月になり、穂のほとんどが黄金色に変わってきました。栽培マニュアルによれば、収穫時期の目安は、穂が出てから40~45日ごろといわれています。収穫する10日ほど前にバケツの水を抜いて、稲を乾かしておきましょう。

稲を根本から刈り取り、風通しのよい場所で1週間~10日程度乾燥させます。

意外と大変!脱穀のコツとは

稲を収穫をしただけでは、まだ食べることができません。穂からもみをとる「脱穀(だっこく)」を行う必要があります。私が今回体験したバケツ稲作りのなかでは、この工程が最も苦労しました!(←農業は機械化が進んでいるため、一般的な稲作の現場では手作業で行うことはほとんどないと思います)

まず、ごはん茶碗のなかに穂を入れて引っ張り、もみを外します。もみをすり鉢にひとつかみ入れて、すりこぎでやさしくすっていきます。そうすると、もみの外殻と玄米に分かれます。紙などの上に置いてそっと息をふきかけて、玄米だけを集めます。

家族みんなで行ったのですが、息の使い方がとても難しい!夢中になっている相手の姿がおかしくてプッと笑うと、せっかく分別したもみの外殻がまた混ざってしまったり(笑)!こういった苦労こそが手作りすることの醍醐味ともいえますが……とにかく四苦八苦でした。

今回は玄米のまま料理に使いたかったので、ひとまず作業は終了。計量してみると、0.5合くらい。想像していたよりも量が少なかったので、おにぎりはあきらめて玄米粥にすることにしました。

玄米粥にして食べてみた

炊飯する前に、玄米を水に1日程度浸します。こうすることで、玄米が柔らかく炊きあがります。水に浸していると、玄米からポツポツ泡が出てきます。

土鍋に玄米とたっぷりの水を加えて、弱火でコトコト。素朴な雰囲気の玄米粥になりました!お粥というよりも、玄米スープに近いかもしれません。自然塩を加えて、シンプルにいただきます。試食できただけでもとても感慨深く、何ともやさしい味わいでした。

食育にもおすすめ!バケツ稲作りを体験してわかったこと

初めてのバケツ稲作りは、種まきからスタートして、収穫・試食まで何とかたどり着くことができました。食育のひとつとして、親子で取り組んでみるのもおすすめです。

稲が成長していく様子を間近に見ていると、どんどん興味が沸き夢中になっていきます。「子どもの食育に」といいつつ、自分自身が一番楽しんでいたりして(笑)。よくある話ですが、そんな体験もいいかもしれません。

日常的に食べているものを、自分たちの手で育ててみる。とてもシンプルなことですが、実際に手を動かしてみてわかることがたくさんありました。たとえば、私たちの主食「米」は、食べておいしいだけでなく、その姿が力強くて美しいということ。青々とした夏の稲にも、たわわに実をつけた初秋の稲にも、心を打たれるような魅力を感じました。

バケツ稲作りのレポートはこれで終わり。関心を持った方はぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。きっと、予想しなかったような発見が待っているはずです。

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