養生ふうど、活動10年目に入りました
養生ふうどの活動は、今月から10年目に入りました。食の大切さに共感し、活動を応援してくださっている皆さま、いつもありがとうございます。
少し前から「はじめまして」の方も増えてきましたので、感謝の気持ちを込めて、今回はこれまでの活動をざっくりと振り返ってみたいと思います。
「これまでどんなことをやってきたの?」という関心をお持ちの方だけでなく、「これから食の活動を始めてみたい」「活動に参加してみたい」という方のご参考になれば幸いです!
〇この記事を書いた人……薬膳と郷土料理の研究家 松橋かなこ
月1回の週末料理教室から始まった|ダブルワークから専業へ
2014年8月に養生ふうどを立ち上げて、同年9月、初めての教室を古民家で開催しました。知人友人の参加が半分ほどありましたが、いま思い返してみてもドキドキの出発でした。
最初の1年半は、NPOでまちづくりの仕事をしながらのダブルワークでした。
平日はNPOの仕事、週末は養生ふうどの仕事ーー。どちらにも魅力があり、多忙ながらも充実した日々でした。
大学では建築学科まちづくりを専攻し、企業・NPOで実務を経験してきた私。
養生ふうどの活動を通して「『食』で人と人がゆるやかにつながっていく」ことにやりがいを感じていました。
そのうちに、料理教室の回数が増えたり、カフェメニューの監修やレシピ開発の依頼が来たりするように。養生ふうどの活動が忙しくなっていきました。
「このままではどちらも中途半端になってしまう」。そんな思いから2015年12月末にNPOを仕事を辞めて、養生ふうどの活動に専念することを決意したのです。
実は、子どもの頃から料理や工作など「モノづくり」が好きだった私。高校で進路を決めるときに「(大学では)食物栄養科と建築学科のどちらに進むのか」をぎりぎりまで迷っていました。そのときに「食は自分自身でも楽しめる」「モノづくりをもっと幅広く学びたい」と思い、建築学科を選びました。
そんな経緯もあったので「食の道を選ぶ」ということは、自分にとって大きな挑戦でした。
それでも決断したのは「必要としてくれる人のお役に立ちたい」「やるなら思い切りやってみたい」という強い想いがあったからです。
仲間とともにカフェメニューづくりに打ち込んだ日々
幼少期は病弱で、家で過ごす時間が長かったこともあり、子どもの頃から料理が大好きでした。
19歳でバックパッカー(※)として旅をするようになってからは、国内外の郷土料理を独学で学び、30歳を過ぎて体調を崩したことをきっかけに中国の先生から薬膳を学びました。
とはいえ、食の道で仕事をするのはこれが初めて。料理コンテストなどで受賞した経験は多数あっても、実際に食の仕事をしていくのとは話がまったく違います。
最初は、試行錯誤の連続でした。
※バックパッカー……バックパック(リュックサック)ひとつで旅をする人のこと。
そんななか、ガーデンカフェや赤ちゃんカフェでのメニューづくりのお仕事に関わることになりました。
主催していた料理教室は自分の意思で決められることがほとんどでしたが、カフェのお仕事はいろいろな方々とのチームワークが大切です。
「お客さまはどんな人たちなのか」「何を求めてカフェにやって来るのだろう」「自分たちに提供できる価値や体験はどんなことだろう」
カフェのオーナーやスタッフの方々とは、毎回いろんなことを話し合いました。
試食会や打合せを何度も重ねて、メニューとしてお客さまに提供できる日がやって来ます。そして、その反応をみながら、次のメニューづくりへと生かしていくのです。
「入院前の不安なときに、ゆっくりごはんを食べたらホッとしました」など、お客さまからのメッセージに心が和むこともよくありました。
ガーデンカフェと赤ちゃんカフェ。2つのカフェでのお仕事は、約3年間続けました。いま振り返ってみても、ここで学んだことは計り知れません。
執筆を通して、食の現状や活動のミッション知る
執筆の仕事は「オーガニックwebマガジン『IN YOU(インユ―)』」の公式ライターから始まりました。
IN YOUでは身体にやさしい食材を取り上げて、自身の経験とともに使い方やレシピを紹介する記事を書いていました。
執筆した記事に対して、読者の方からメッセージが届くこともしばしば。サイト自体の購読者数が多いことや、編集部の方がこまめにコメントをくださったこともあり、自分にどんなことが求められているのかを客観的に知ることができました。
その頃から少しずつ「コラム記事ではなくて取材・インタビュー記事も書いてみたい」と思うように。
夜間のオンラインライタースクールに通い、インタビュー記事の書き方を実践を通して学びました。
そして、幸運にも「日本文化の入り口マガジン『和樂web』」のライターに採用されました。郷土料理や伝統食材の作り手を取材し、インタビュー記事を書くことになったのです。
ここから取材・インタビュー記事の制作がスタートし、現在に至ります。
郷土料理や伝統食材の現場を訪れると、昔ながらの食の温かさに触れて、心身がホッと癒されることも多いです。何かの「洗礼」を浴びているような気分になることもあります。
作り手の方々お話していて毎回感じるのは「もっと多くの人に郷土料理や伝統食材の魅力を知ってもらいたい」ということ。
その入り口を作るのが、養生ふうどの役割なのかなと感じています。
(取材記事にするだけではモッタイナイ!そんな想いから、最近は作り手の方々とのコラボレッスンも企画・開催しています)
参加者の方々の声にいつも励まされてきた
ここまで仕事の変遷をお話してきましたが、何よりも私にとって大きかったのは、教室の参加者やリピーターさんの存在です。
「子どもと一緒に摘み草料理を作ったら発見がありました」「病後の回復期に教室のスープで救われました」など、これまでいろんなメッセージをいただいてきました。
私は、レッスンでお伝えするレシピが「完成形」とは思っていません。ご自宅に戻って、それぞれの家庭の味になっていったときに「レッスンで養生ごはんをお伝えできてよかった」と感じます。
教室のリピーターさんのなかには、食の相談から始まって、人生の話に発展するケースも。相談を受けていると「食を見つめることは生き方を見つめること」と思ったりもします。
薬膳ベースの養生ごはんは「その人に合ったオーダーメイドの食事」が基本です。
薬膳の考え方やレシピをお伝えするだけでなく、これからはセッションなどを通して「その方が何を求めているのか」にもっと向き合っていきたいと思っています。
食を通じて「心のヨリドコロ」を作りたい
月1回の週末料理教室からスタートした養生ふうどの活動は、素晴らしいご縁や出会いに恵まれて、こここまで続けることができました。
カフェや執筆の仕事などを紹介しましたが、これはごく一部です。ほんとうに、いろいろな方々に支えられてきました。
プライベートでは2018年春に一児の母となりました。出産・育児などで一度立ち止まることで、見えてきたものもたくさんあります。
コロナ禍では対面でのレッスンをお休みしていましたが、2023年6月から3年ぶりにレッスン再開しました。「待ってましたよー」と言われると、思わず涙が出そうになります。
食のつながりって素晴らしいな、とあらためて感じるこの頃です。
これまでに経験したことを生かして、皆さんのご期待に添えるように。皆さんの声をお聴きしながら、新しい活動にも挑戦していきたいなと思っています。
長文になってしまいましたが......これからもよろしくお願いします!
●養生ふうどでは「食事で心と身体を整えたい」「人にも地球にもやさしく暮らしたい」という人に向けて、「5日間メール講座」と「養生ごはん便り(メルマガ)」を配信しています。ぜひご活用ください^^
養生ふうどでは、「養生ごはん教室(2023年8月~オンラインクラスもスタート)」や「我が家の想い出レシピノートづくり」などの活動を行っています。ブログの感想や質問なども随時受付しています。お問合せフォームからお気軽にご連絡ください。