季節行事と郷土料理の関係|心と体を育む大切な存在

季節ごとの行事と郷土料理には深い関わりがあります。全国を見渡してみるとその地域にしかない行事も多く、そこには必ずといっていいほど郷土料理の姿があります。そこで今回は、季節行事と郷土料理の関係について考えてみましょう。

正月のお雑煮は地域によって多種多様

行事と郷土料理の関わりを考えるときに、まず思いつくのが「お雑煮」です。お雑煮は正月に神さまにお供えしていた鏡もちをいただくもので、お雑煮に使う具材は、地域ごとにさまざまなバリエーションがあります。

・北海道:さけ、いくら

・岩手県:くるみ

・東京:鶏肉、野菜、かまぼこ

・愛知県:もち菜(小松葉)

・京都:里芋、金時にんじん、白みそ

・鳥取県:小豆

・福岡県:ブリ、焼き豆腐、かつお菜

お雑煮の具材には、その地域でたくさん収穫できる食材が使われています。具材だけでなく、味付け(塩・しょうゆ・味噌・砂糖)や餅の形状(丸・四角)などもそれぞれ異なっています。

ひなまつりに食べる郷土菓子

ひなまつり(桃の節句)には、お菓子をお供えしてお祝いをします。全国的には「ひなあられ」がよく知られていますが、個性的なお菓子で祝う地域もあります。

・岩手県:くるみの入ったお菓子「きりせんしょ」

・愛知県:米粉でつくるシンプルなお菓子「おこしもの」

・愛媛県:上新粉としょうゆ、砂糖のお菓子「しょうゆ餅」

私の暮らす愛知県では、ひなまつりが近づくと和菓子店などには「おこしもの」がたくさん並びます。おこしものづくりには専用の木型を使いますが、女の子が生まれるとプレゼントとして贈る文化もあります。

愛知県で代々暮らしている知人宅を訪れたときに、木型を見せてもらったことがあり、使い込まれた木型に風格を感じました。また別の知り合いは「おこしものを見ると子どもの頃を思い出す」と語ってくれました。

郷土料理は心と体を育ててくれる

季節行事と郷土料理は奥深い関係があって、ひなまつりの郷土食のように、食べ続けているうちに、いつしか大切な想い出になっているものです。その意味では「郷土料理は心と体を育ててくれる存在」といっても言い過ぎではないでしょう。

その一方で、季節行事は手間がかかることから、全国的に年々少なくなり、簡略化されています。すべてを昔のまま残すことは難しいかもしれませんが、季節行事や郷土料理に込められた大切なエッセンスが丁寧に継承されていくことを願っています。

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