ホンビノスじゃなくてカガミガイ|砂袋の下処理と、酒蒸しなどの食べ方・レシピ

春先になると、潮干狩りの季節の到来ですね! 私の暮らす愛知県は潮干狩りのスポットが多く、子連れでも十分楽しめることから、我が家では毎年出かけています。

この数年、潮干狩りでたくさん収穫するのが「カガミガイ」。聞きなれない名前ですが、旨味が強く汁物にすると絶品です。そこで今回は、カガミガイの特徴と下処理の方法、酒蒸しなどのおいしい食べ方(レシピ)を紹介します。

●この記事を書いた人……薬膳と郷土料理の研究家 松橋かなこ

カガミガイってどんな貝?|ホンビノスとの違い

実は初めてカガミガイを収穫したとき、「ホンビノス(※)がたくさん採れた~~」と勘違いしていました(笑)。それもそのはず、カガミガイはホンビノス貝と同じ二枚貝で、大きさもよく似ています。上の写真がホンビノス貝、下の写真がカガミガイです。

ホンビノス貝は黒っぽいものが多く、カガミガイのような丸さはありません。

カガミガイは白っぽいものが多く、丸くて手鏡のような形状をしています。カガミガイの産地といえば北海道ですが、最近では愛知県の三河湾でも採集できるようになりました。

※ホンビノス貝とは……北米大陸の東海岸に生息していて、アメリカではよく食べられている貝。最近はスーパーなどでも見かけるようになった。千葉県の東京湾沿岸(船橋市や市川市)でよく採集でき「千葉ブランド水産物」にも認定されている。

カガミガイの下処理方法|砂袋をきれいに取ろう

カガミガイをおいしく食べるには下処理が大切です。一般的に貝の下処理といえば「砂抜き」ですが、カガミガイは塩水などに浸しても砂を出してくれません。

カガミガイのなかに「砂袋」と呼ばれる黒っぽい袋があり、このなかに砂がたくさん入っています。一見面倒なようにも思われますが、砂袋を確実に取れば、ジャリジャリした食感が残ることはありません。個人的には、一度慣れてしまうと、それほど大変な作業ではないと感じています。

ちなみに我が家では、カガミガイを酒蒸しにする場合、テーブルの上で砂袋を外しながら食べることもあります。作りたい料理によって、下処理をするかしないかを決めています。

簡単!カガミガイの砂袋を取る手順

生の状態のまま殻を開いて砂袋を取り外す方法もありますが、貝が硬く閉じているのでなかなか難しいです。私のおすすめは、貝を加熱してパカッと開いたら砂袋を取るという方法です。

1.カガミガイを流水で洗い、表面の汚れを落とす。

2.貝を鍋に入れて、貝が半分くらい浸かる程度の水を加える(そのまま酒蒸しとして食べる場合はこのタイミングで酒を加えてもOK)。

3.貝が開いたら、キッチンバサミなどを使って砂袋(写真左下の黒い部分)を取る。この時のスープは旨味たっぷりのいい出汁が出ているので、捨てないでとっておく。

カガミガイの保存方法

潮干狩りに行くと、大量のカガミガイを採集します。魚介類は鮮度が大切なので、収穫後はできるだけ早く味わうようにしています。とはいえ、一度では食べきれないほどの量を収穫することも多いです。近所の人にお分けするのに加えて、保存食を作ったり冷凍保存したりして楽しんでいます。ここでは我が家で実践している冷凍保存の方法を2つ紹介します。

下処理をしたら実とスープに分けて冷凍しておくと便利

カガミガイの下処理をして砂袋を取った後、実は佃煮にして、スープは小分けにして冷凍することが多いです。佃煮を作らない場合は、下処理後の実を味付けなしで冷凍することもできます。

カガミガイのスープは旨味がたっぷりなので、これをベースにして潮汁やみそ汁、スープを作るとてもおいしく仕上がります。クラムチャウダーやシチューなどのベースとして使うのもおすすめです。

時間がないときは、殻付きのまま冷凍することも

カガミガイが大量に収穫でき下処理をする余裕がないときは、下処理をしないで殻付きのままジップロックなどの袋に入れて冷凍保存します。この場合は、1カ月を目安に食べ切るようにします。我が家では、殻付きのものは酒蒸しにしてダイナミックに味わうことが多いです。

カガミガイのおいしい食べ方(レシピ)

カガミガイは、酒蒸しや潮汁などの汁物、佃煮、炊き込みごはんなどいろいろな食べ方で楽しむことができます。何を作ろうか迷ったら、ハマグリを使って作る料理をイメージするといいかもしれません。

ちなみに、私のおすすめは酒蒸しや潮汁です。簡単に作れるのはもちろん、カガミガイのおいしさがシンプルに味わえます。「カガミガイは初めて」という人は、ぜひ作ってみてくださいね。

カガミガイの酒蒸し

鍋に流水で洗ったカガミガイと酒を入れて加熱し、貝が開くまで5分程度加熱します。仕上げに刻んだ青ネギを散らせばできあがり。

カガミガイは塩気が強いため、我が家ではざく切りにした春キャベツと一緒に蒸して、レモンを絞って食べることも多いです。テーブルの上で砂袋を取りながら、貝を豪快に味わっています。

カガミガイの潮汁

鍋にカガミガイと酒、水を入れて加熱し、沸騰したら貝が開くまで弱火で加熱します。やけどに気をつけて、貝を取り出し砂袋を取り外します。

味を調える程度に自然塩などを振り、好みで三つ葉やネギを添えます。分量(2人分)は、カガミガイ4~6個、酒小さじ1、水350mlが目安です。カガミガイから濃厚な旨味と塩気が出るので、我が家では塩などの調味料を加えずにそのままいただくことも多いです。

カガミガイの佃煮

下処理をした後のカガミガイに、ショウガの千切りとしょうゆ、みりん、酒を加えて甘辛く煮詰めて佃煮にします。カガミガイは長く加熱すると固くなる性質があるので好みが分かれる一品です。「貝のコリコリした食感が好き」という人は、ぜひ試してみてくださいね。

カガミガイは炊き込みごはんや炒めものにも幅広く活用できる

カガミガイは炊き込みごはんや炒めものなどにも幅広く活用できます。特に冷凍したカガミガイの実を使う場合は、にんじんや干し椎茸などの食材と組み合わせて炊き込みごはんにすることが多いです。

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潮干狩り&カガミガイ!海を五感で楽しもう

カガミガイはあまり知られていない貝ですが、旨味がたっぷりでいろいろな料理に活用できます。カガミガイの出汁をいただくと「海のエキスを飲んでいる」ような気持ちになります。

潮干狩りは、それ自体が砂場で遊んでいるような気分で楽しいイベントです。息子は、貝と貝の間から出てくる小さなカニを見つけて大喜び。私たちが食べている貝はこんな環境で採れたものなんだ、ということを大人も子どもも実感できます。

潮干狩りは、海を五感で感じるイベントだなぁとしみじみ感じます。カガミガイの記事を書いていたら、潮干狩りに早く出かけたくなってきました(笑)。

潮干狩りに行き、収穫した貝を味わうーー。こうした体験をしていると「海の恵みに感謝」という気持ちがじわじわと湧いてきます。


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