絶品!しぼりたての自家製生しょうゆともろみの味わい&ポン酢づくり

日本の伝統的な調味料のひとつ、しょうゆ。ごく身近な存在ですが、「手作りした経験がある」という人は少ないかもしれません。

かくいう私は、数年前に仕込みキットを利用して、自家製しょうゆを初めて仕込みました。「手作りにまさるものはなし!」とよくいいますが、自分で作ってみて発見したことがたくさんありました。そこで今回は、しょうゆ作りの工程や味わい、実際に作っておいしかった料理について紹介します。

「しょうゆを仕込んでみたい」という人のご参考になれば幸いです。

●この記事を書いた人……薬膳と郷土料理の研究家 松橋かなこ

初めてのしょうゆづくり

大徳醤油株式会社さんの「手作り醤油キット」を使って、人生初のしょうゆづくりに挑みました。といっても、必要な材料がすべて揃っているので初心者でも簡単! 当時3才の息子と一緒に仕込みましたが、いつも食べているしょうゆがどうやって作られるのかな?理科の実験のような気分でとても楽しかったことを思い出します。

その後、大徳醤油さんにインタビューさせていただきました。詳しくは、日本文化の入り口マガジン「和樂web」の記事をご覧ください。

そろそろ食べ頃!しぼりたての生しょうゆともろみ

仕込みから、約1年。「昔はしょうゆを混ぜるのは、子どもの仕事だった」という大徳醤油さんの言葉を思い出しながら、子どもと一緒に木べらで混ぜる作業を繰り返しました。トロトロとした状態に変化し、しょうゆらしい香りが漂って熟成が進んでいます。

しょうゆはそのまま置いておくと、味がどんどん変化していきます。まずは少量を味わうべく、小さなザルの上に絞り用の布を置いて、しょうゆをしぼってみました。

下の写真は、しぼりたてのしょうゆ(左側)ともろみ(右側)。しょうゆは、透明感のある上品な色味に仕上がっています。もろみをひと舐めしてみると、熟成された深い味わいにびっくり。炊き立てのごはんの上や香ばしく焼いた厚揚げに乗せてみたところ、とても美味しかったです!

もろみは「みそとしょうゆを合わせたような調味料」ともいわれ、これが食べたくてしょうゆを手作りする人も多いのだとか。なるほど納得です。

しぼりたてのしょうゆは「生しょうゆ」「生揚げ(きあげ)しょうゆ」と呼ばれます。火入れ(加熱処理)をしていないため、いろんな微生物が生きていて奥深い味があります。大徳醤油さんのお話では「作る人によって味が変わる」「その家庭ならではの味になる」とのこと。「どれどれ、我が家の味になったのかな?」。そんなことを考えながら味見をする時間も、なかなか感慨深いです。

生しょうゆはそのまま置いておくと、味がどんどん変化していくのも大きな特徴です。味を安定させるために火入れをするという方法もありますが、せっかくなので、しばらくは生しょうゆのまま楽しみたいと思います。

自家製生しょうゆで普段の料理がぐっと味わい深くなる

生しょうゆをシンプルに味わった後、魚の煮付けを作ってみました。煮魚のなかでも、私は特に「カワハギの煮付け」が大好き。生しょうゆの味わいを活かすべく、煮汁は薄目に味付けして、最後に生しょうゆをひと回し。カワハギの淡泊な身に、風味豊かな生しょうゆがよく合う一品に仕上がりました。

続いて、里芋やひじきの煮物、焼きうどんなどにも生しょうゆを使ってみました。生しょうゆ独特の風味を楽しみたいので、こちらも仕上げにさっと生しょうゆをひと回し。普段の料理がぐっと奥深い味わいになり、豊かな香りが楽しめます。

もろみも丸ごと!ポン酢づくり

手作りしょうゆのおいしさにすっかり魅了されてしまった私。続いて、ポン酢も作りました。生しょうゆを使ったものと、もろみも丸ごとつかったものの2タイプです。

通常のポン酢では、昆布やかつお節などの旨味の出る食材を使いますが、今回はしょうゆとゆずのしぼり汁でシンプルに。しょうゆとゆずのしぼり汁の割合が「3:2」になるように用意し、混ぜ合わせます。

生しょうゆを使ったものは、上品な味わい。丸ごと使ったものは「食べるポン酢」という雰囲気で、独特のクセがあって少しだけ大人向き。手作りポン酢は、湯豆腐や鍋料理に重宝しそうです。

手作りの醍醐味!生しょうゆともろみの味の探求はまだまだ続く

初めて挑戦した、自家製しょうゆ。ごく身近な調味料でありながら、いざ手作りをしてみると知らないことばかりで発見の連続でした。生しょうゆともろみは豊かな香りがあり、料理が奥深い味に変身する格好の調味料だと感じました。

毎年1月の「鏡開き」。この日はお雑煮かお汁粉を作ることが多いですが、しょうゆを使って「いそべ餅」にしようかなと考えています。「自家製しょうゆはお餅によく合いそう」「もろみを挟んでもおいしいのでは」と想像が膨らみます。料理のイメージがどんどん膨らんでいくのも、調味料を手作りする醍醐味かもしれません。

この記事を読んでくださっている皆さまも、機会があればしょうゆを手作りしてみてはいかがでしょうか。「我が家の味」ってどんな味だろう?そんなことを考えながら、完成を待つ時間も楽しいものです。

●「5日間ステップメール講座」と「季節の養生ごはん便り(メルマガ)」を配信しています。ぜひご活用ください^^(登録後、いつでも解除できます)

●養生ふうどでは、郷土料理や食文化を「のこす」「つくる」「伝える」活動をしています。郷土料理イベントプロモーション支援郷土食サポーターの募集を行っています。詳しくはこちらからご覧ください。ご相談・お問合せもお気軽にどうぞ。