商品開発ストーリーの書き方|特産品や郷土料理を紹介するポイント

自信がある商品なのに、なぜか売れないーー。その大きな原因として「魅力がお客さまに十分伝わっていないから」ということが考えられます。では、魅力を伝えるためにはどうすればいいのでしょうか。

そのひとつの解決策として「商品開発ストーリーを書く」という方法があります。そこで今回は、商品開発スト―リーの書き方とポイントについて、商品の取材記事を多数手掛けた自身の経験からお伝えしたいと思います!

〇この記事を書いた人…薬膳と郷土料理の研究家:松橋かなこ

商品開発ストーリー(開発秘話)とは

長野・柿すだれ

商品開発ストーリーとは、開発に至った背景や裏話などを交えた物語のこと。一般的な「商品紹介」では、「モノ」に注目して商品の品質や機能性などを中心に紹介します。それに対して商品開発ストーリーでは、商品に関わる「ヒト」にフォーカスすることが多いです。

開発ストーリーは別名「開発秘話」と呼ばれます。表向きには語られることの少ないエピソードが綴られる場合も多く、読者との間に共感や臨場感が生まれやすいのも大きな特徴です。

たとえば「お客さまの声から生まれた商品です」と一言で済ませるのではなく、具体的な声を一つひとつ書いてみるのもおすすめです。私は開発秘話を書くときに、ユーザ―の声と一緒に開発者自身が「どう感じたのか(対応したのか)」も書き添えることが多いです。

こうしたやりとりを丁寧に伝えることで、読者はお客さまの声に自分自身を重ね合わせることができ、臨場感が生まれるのです。

商品開発ストーリー(開発秘話)を伝えるメリット

沖縄・黒糖工場

商品開発ストーリーを書いて伝えていくことで、企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。

商品への共感・信頼感が生まれる

商品開発に至るまでの背景や想い、完成までに苦労したエピソードを交えることで、共感が生まれやすくなります。品質や機能性を伝えていくだけでなく、選ばれる商品になるためには「どうやって共感や信頼感を呼ぶか」がとても重要です。

完成した商品の特徴だけでなく、そこに至ったエピソードを添えることで「心を込めて作られた」「多くの人が関わって作られた商品」など商品への親しみや愛着を抱きやすくなります。

ここからは私の経験ですが、以前にプラントベースの新商品の商品開発ストーリーを担当したことがあります。

プラントベースというのは「(動物性のものを使わずに)植物由来の」という意味。少し前から話題になっている言葉ですが、その意味を理解しているのはごく一部の人たちだけででしょう。

開発ストーリーは、価値がまだ認知されていない言葉や商品の魅力を一般の人たちに伝える上でもとても有効です。商品を開発したベンチャー企業のトップインタビューを行い、開発秘話としてまとめたところ、多くの人たちの共感を呼ぶことができました。

商品の魅力を伝えやすく、お客様の記憶に残りやすい

一般的に、単なる情報としてではなく、ストーリーとともに情報を提供したときに記憶に残りやすいといわれています。

たとえば、「商品の特徴は●●です」と伝えるよりも、「不便だと感じていた●●を改善しました」「実際に試してみたところ●●でした」といった一文があるほうが、商品の魅力が具体的にイメージしやすく、結果として印象に残りやすくなります。

社員の意識向上や会社のイメージアップにつながる

商品開発ストーリーを読むのは、お客さまだけではありません。開発に至るまでの葛藤や熱い想いを伝えることは、社員の意識や会社のイメージを向上させるのにも役立ちます。

求職者にとっては、会社の社風や現場の状況を知る手がかりにもなります。商品開発ストーリーを通して、求職者の就業意欲のアップや、会社に適した人材の採用にもつながるでしょう。

私自身の経験では、伝統食品産業のトップインタビュー記事を納品したときに、社長さんから「私が言いたかったのはこういうことだ」「社員全員に回覧します」と言われたことがあります。商品開発ストーリーには、企業理念や社是に通じる要素がたくさん詰まっています。

このように、商品開発ストーリーは、外部の人たちに向けて発信するだけでなく、社員の一人ひとりに響くメッセージとしても活用できます。

商品開発ストーリーの書き方とポイント

ここからは、実践編として商品開発ストーリーの書き方とポイントについて説明します。

商品開発ストーリーの書き方

商品開発ストーリーを書く方法は、「自分で作る」「(取材ライターなど)外部の人材に依頼する」などいくつかの方法があります。ここでは、自分でストーリーを作る手順を5つのステップで解説します。

ステップ1:その商品を作ろうと考えた背景を具体的に書く

ステップ2:商品の完成に至るまでに、苦労したことやチャレンジしたことを書く

ステップ3:ステップ2に関連して、ヒトやモノ、情報などの印象的な出合いがあれば書く

ステップ4:商品が完成したときの想いや、利用者(試した人)の声を書く

ステップ5:ステップ1~4をつなげて、ひとつのストーリーにまとめる

商品開発ストーリーを書くときのポイント

商品開発ストーリーを書くときのポイントは、大きく2つあります。それは「具体的に書くこと」と「必要に応じて数値を入れる」ということです。

自分自身でストーリーを書いていると、わかったような気持ちになって言葉を省略してしまう場合がありますが、それはNGです。何も知らない人が読むことを考えて、できるだけ具体的に書くように心がけましょう。

また、「開発期間●年」「利用者●人の声」など数値を含めることも重要なポイントです。数値が入ることで、読者は具体的なイメージを描きやすくなります。

商品開発ストーリーで、商品の魅力を伝えよう

長昆布

今回は、商品開発ストーリーを書くメリットと書き方についてお伝えしました。単なる商品紹介だけではなく、商品開発ストーリーを含めることで、特産品の魅力をしっかりと伝えることができます。

「思うように商品の魅力が伝えられない」。そんな悩みを感じているなら、ぜひ一度商品開発ストーリーを書いてみてはいかがでしょうか。

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