産後におすすめの「ずいき(芋がら)」|アク抜き方法とおいしい食べ方・レシピ
古くから人々に愛されてきた健康食材「ずいき(芋がら)」をご存知でしょうか。ずいきは里芋の葉柄のことで、昔から「産後に食べるとよい」「血をきれいにする」といわれてきました。
今回は、ずいきが大好きな私が、ずいきと芋がらの違い、ずいきのアク抜き方法とおいしい食べ方(レシピ)を紹介します。
〇この記事を書いた人……薬膳と郷土料理の研究家 松橋かなこ
ずいきとは
ずいきとは、八つ頭・赤芽芋・唐の芋などの里芋の葉柄(ようへい)のこと。葉柄というのは、葉と茎をつないでいる部分のことです。
八つ頭は「赤ずいき」、唐の芋は「白ずいき」と呼ばれます。一般的によく見かけるのは赤ずいきが多いようです。
ずいきの栄養|「産後に食べるとよい」といわれる理由
私には富山で暮らす祖母がいます。私は幼い頃から「ずいきは血の道を通す(血液をきれいにしてくれる)」「産後の女性は食べるといい」と言われて育ちました。
先人の知恵によれば、ずいきには血をきれいにするだけでなく、母乳の出を良くする効果も期待できるのだとか。
栄養面では、ずいきには鉄分や食物繊維、カルシウムが含まれています。産後だけでなく、普段から意識して摂取したい栄養がぎゅっと詰まった食材です。
ずいきと芋がらの違い|生のずいきを乾燥させたものが「芋がら」
ずいきとよく似たものとして「芋がら」があります。芋がらは、生のずいきの皮をむいて乾燥させたものです。
乾燥させることで独特の食感が生まれます。芋がらは別名「割菜」と呼ばれることもあります。
芋がらは乾燥していて日持ちがすることから、忍者が携帯していたともいわれています。
ずいきや芋がらはスーパーでも売っている?
ずいきの旬は6~8月。八つ頭の赤ずいきは加賀(石川県)、白ずいきは奈良県の伝統野菜です。
そのほか、新潟県や富山県、三重県などでも栽培されています(私の親戚は富山県に住んでいて、ずいきを栽培しています)。
ずいきの生産地では、比較的入手しやすい野菜です。たとえば、奈良県ではお盆にずいき料理を作って仏壇に供える食文化があり、現地ではその時期になるとずいきが出回ります。
しかし、全国的には、ずいきは見かけることが少ないかもしれません(私の暮らす愛知県では、8月のお盆の前後だけ、スーパーや直売所で販売されていることがありますが......)。
その一方で、芋がらは、ずいきに比べると入手しやすい食材です。私の近所のスーパーでも芋がらは年中販売されています。
(芋がらはインターネット通販などでも購入できるので、気になる方はぜひ探してみてくださいね。)
芋がらの使い方(下処理・アク抜きの方法)
芋がらはアクの強い食材です。料理に使う前に、アクを抜く必要があります。
芋がらのアク抜きの方法
- 芋がらを水で洗ってボウルに入れ、たっぷりの水に10~15分浸しておく。
- 1の水を捨てて、鍋にずいきとかぶるくらいの水を入れて火にかける。沸騰したら弱火にして、5~10分程度ゆでる。
- ずいきをざるにあげて、水にさらす。味をみてアクが抜けていればOK(アクが残っている場合は、何度か水を取り替えてしっかりアクを抜く)。
アク抜きしないで使うとどうなる?
芋がらはアクの強い食材です。アクが抜けていない状態だと、のどや舌がイガイガ・チクチクすることがあります。
これは「シュウ酸カルシウム」によるものです。里芋の皮を素手でむくと手がかゆくなることがありますが、この現象もシュウ酸によるものです。
アク抜きは手間がかかるように見えるかもしれませんが、そんなに難しいものではありません。
まとめてアク抜き後、小分けにして冷凍保存!
実は、私はずいき(芋がら)が大好きです。子どもの頃からよく食べていたということもあり、ずいきが無性に食べたくなることがあります。
我が家では、芋がらをまとめてアク抜きした後、小分けにして冷凍保存しています。
冷蔵庫で半解凍した後、汁物や煮物などの料理に使っています。
芋がらのおいしい食べ方・レシピ
芋がらは淡泊な味わいなので、いろいろな料理に活用できます。ここでは、芋がらを使った酢の物とみそ汁、煮物について紹介します。
芋がらの酢の物
芋がらを使った定番料理といえば、やっぱり「酢の物」です。
ひたひたに浸かる程度の梅酢や甘酢に漬けると、芋がらのシンプルな常備菜ができあがります。まとめて作っておいて少しずつ食べるのがおすすめです。
(ちなみに......私は産後に芋がらの酢の物をほぼ毎日食べていました。身体が欲しているものはおいしく感じられるのか、飽きずに食べ続けていたことを思い出します。)
芋がらのみそ汁
芋がらは、わかめを使うような感覚でみそ汁に利用できます。
下処理をして食べやすい長さに刻んだ芋がらを加えて、ひと煮たち。仕上げにみそを溶けばできあがりです。
根菜を使ったみそ汁や豚汁との相性も良く、滋養たっぷりの一品になります。
芋がらの煮物
芋がらは煮物に使うのもおすすめです。高野豆腐や油揚げなどを使う感覚で、芋がらを煮物の具材として利用してみましょう。
下処理した芋がらを煮物の鍋のなかに入れて煮込み、味をふくませます。肉じゃがの具材として使うのもおいしいです。
ずいき(芋がら)をおいしく食べて、健やかに過ごそう
ずいき(芋がら)は一見すると地味な食材ですが、昔から人々に愛されてきた滋味ある食材です。
芋がらはスーパーなどでも手に入りやすく、まとめてアク抜きをしておけば、みそ汁や煮物など普段の料理に幅広く活用できます。
スーパーや直売所などでずいき(芋がら)を見かけたら、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
自然の恵みと先人の知恵を上手に取り入れて、健やかに過ごせますように。
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