柿酢から紅茶キノコ(コンブチャ)のスコービー!? 循環する暮らしを始めよう

2019年秋に初めて柿酢を作って、その面白さに魅了されました。2023年11月には「柿酢づくりと薬膳マリネ(養生ごはんと手しごと教室)」で皆さんと一緒に柿酢づくり。これが何とも楽しかった!

さて。柿酢づくりをすると「表面に白い膜が出てきました」「これってカビですか?」という質問をよく受けます。今回はこの白い膜の正体について書いてみたいと思います。

●この記事を書いた人……薬膳と郷土料理の研究家 松橋かなこ

コンニャクのような白い膜は「産膜酵母」!?

柿酢が熟成する段階では、コンニャクのようなとろんとした白い物体が浮いてくることがあります(写真は見づらいですが表面に所々浮いています)。

柿酢づくり教室を開催していると「カビが生えた!?」と驚く方も多いのですが、これは食べても害のない産膜酵母である場合が多いです(カビが生えて腐敗している場合は異臭がします)。

白い膜の正体は、紅茶キノコ(コンブチャ)の元になる「スコービー(マザー)」とも

紅茶キノコというのは、紅茶または緑茶に砂糖を加えて、キノコの形に似たゲル状の塊を漬け込んで発酵させた飲みもののこと。日本では1970年代に流行して、別名「コンブチャ」とも呼ばれています。

紅茶キノコには疲労回復や便秘予防、代謝アップなどさまざまな効果が期待されています(知人からおすそわけをしてもらい、私も何度か飲んだことがあります)。

紅茶キノコの材料となる「キノコの形に似たゲル状の塊」は、「スコービー(マザー)」と呼ばれるもの。柿酢の表面に出てくる白い膜はスコービーだといわれています。

思いもよらない副産物ですよね。このスコービーに紅茶を入れて発酵させると紅茶キノコになるーー。想像するだけで、発酵食の不思議な世界を感じてしまいます。

柿酢を濾した後の「搾りかす」はどうする?

柿酢の仕込みから1カ月が経過したので、布袋で濾しました。産膜酵母入りの搾りかすを一口食べてみると、(完熟柿を使ったからなのか)甘酸っぱくておいしい!

捨ててしまうのはモッタイナイ!我が家ではそのまま食べたり、はちみつを少量加えてジャムのように食べたりしています。「ぽんせん(玄米パフ)」の上に乗せて食べるのも最近のお気に入りです。

柿酢の搾りかすは肥料や次の仕込み(スターター)にも

搾りかすの味は、仕込んだ柿の種類や熟成環境によっても異なります。「おいしくない!」という場合は、畑の肥料として使ったり、次の柿酢を仕込むときに「スターター」として混ぜたりするのもおすすめです。

スターターというのは、発酵食品を仕込む際に使う元の菌のこと。スターターを使うことで、発酵が促進されます。

柿酢づくりは無駄がない!循環する暮らしを始めよう

柿酢を作っていると「まったく無駄がないなぁ」と感じます。材料に余った柿を使うことができて、濾した搾りかすも再利用できる。副産物として、紅茶キノコの元になるスコービーが発生したりもするーー。

勢いあまって......今年は3回も柿酢を仕込んでいます(笑)

柿酢など手しごとをしていて感じるのは、「身近な体験が循環する暮らしにつながっている」ということ。自然の恵みをおいしくいただいて、人も地球も元気になったら理想的ですよね。

養生ごはん教室(対面オンラインでは、そんな体験ができる場をこれからも企画していきます!


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